ヒト、モノ、カネ、あらゆるリソースに制約を抱えるベンチャー企業は、どのようにしてユーザー数を拡大していけばよいのでしょうか。その1つの解であろう「コマーケティング(co-marketing)」というコンセプトを紹介します。
コマーケティングとは、複数のベンチャー企業がパートナーシップを組むことでお互いのリソースを活用し、マーケティングにレバレッジを効かせる手法のことです。
今回は、そのコマーケティングに、日本、そしてグローバルで先駆的に取り組んできたハイヤー、タクシー配車アプリ「Uber」の日本法人社長 髙橋正巳氏に、企画、実施の秘訣を聞きました。
Uberの「マジカル」な体験をしてもらうために
-日本での事業展開とこれまでの実績は?
Uberはアメリカ・サンフランシスコで2010年に開始し、現在世界50カ国、230都市以上でサービスを提供しています。日本では東京で昨年11月から試験運用を行い、今年3月に正式にサービスを開始しました。黒塗りのハイヤーを呼ぶ「UberBlack」は日本上陸当初から展開し、今年8月からはタクシーを配車する「uberTAXI」、ハイクラス車種のタクシーを呼べる「uberTAXILUX」をサービスラインに追加しました。
Uberの特徴は、車を1台も自社で保有せず、ユーザーとドライバーをつなぐプラットフォームを提供するテクノロジーカンパニーであること。日本では旅行代理店業として運営しています。東京でサービスを開始した直後、参考値として、他の大都市と比べて2〜3倍の需要がありました。高品質なサービスに対する期待が高いのだと思います。
サービスがこれほどまでに広がっているのは、“2タップでハイヤーやタクシーが呼べる”、“キャッシュレスでクルマを降りられる” という、便利かつこれまでになかった斬新な機能をUberが世界で初めて提供したからだと考えています。スマートフォンの位置情報機能を使って現在地まで車を呼び、アプリのクレジットカード決済機能を使うことで降りるときに小銭を探す手間がなくなりました。
他社が提供している配車アプリとは、Uberは全く異なる新しいマーケットを作っていると考えます。Uberはハイヤーからタクシーまで幅広いラインアップを提供しており、接待などのビジネスユースから、記念日のイベントの送迎や普段使いなどの個人ユースまで、さまざまなニーズに応えられる点はユニークだと思います。
-Uberのマーケティング戦略は?
マーケティング上、最も重要だと考えていることが、ユーザーに実際にサービスを体験してもらうということです。ウェブサイトや他の人からのクチコミでサービスについて知ってもらうことも大切ですが、“2タップでハイヤーやタクシーが呼べる”、“キャッシュレスでクルマを降りられる”、そういったUberの「マジカル」な体験をしてもらいたいと考えています。
私もサンフランシスコに住んでいた頃に、初めてUberを利用したときのことは今でも鮮明に覚えています。ことわざの“Seeing is believing.(百聞は一見に如かず)”ならぬ、“Riding is believing.”という考えに基づき、さまざまな企画に取り組んでいます。
金銭的なやり取り一切なし。Win-Winでユーザーを増やす
実施している施策は大きく2つに分けられます。これが今回のテーマである「コマーケティング」に関わる部分です。
1つは、「オンデマンド型」。パートナー企業ごとに異なる企画を展開するパターンです。Uberは、人だけでなく、いろんなものを運べる汎用性の高いプラットフォームです。例えば、今年7月には、世界144都市で、1日限定で“アイスクリーム”を運ぶ企画を実施しました。アプリの車両選択の画面で、ハイヤーに加えアイスクリームという選択肢を設けました。
日本では「GROM」というイタリアンジェラートのブランドと、同じ施策を展開し、ユーザーにジェラートとUberオリジナルのサングラスをセットで届けました。“アプリで呼んだらすぐに来る” “キャッシュレスで利用できる”というサービスの特徴を、一味違った形で疑似体験してもらう企画でした。マーケティングに限らず、Uberは常にサプライズを提供することを大切にしています。
もう1つは、「プロモーションコード型」。さまざまな業界・業種の企業のサービスと、Uberの配車サービスを組み合わせてユーザーに提供するものです。例えば、特に反響の大きかったものでは、有料会員制のレストラン予約サービス「LUXA RESERVE(ルクサ リザーブ)」でサインアップするとUberのプロモーションコードをプレゼントするという企画。ハイヤーとレストランの組み合わせは評判でした。
カップル専用アプリ「Between(ビトウィーン)」と「AEONシネマ」との企画では、抽選で5組のカップルに、都内から、横浜・みなとみらいの映画館までハイヤーで移動できるUberのプロモーションコードと、イオンシネマみなとみらいで開催される映画『ホットロード』試写会ペアチケット、そしてみなとみらいの夜景が見えるカフェスペース「Café 35mm」で使えるドリンクサービスをプレゼントしました。
こうした少し特別なシーンを演出する企画もあれば、どこかの企業とコラボレーションして社員限定でプロモーションコードを配布するような、よりシンプルな企画もあります。そこまでターゲットユーザーや訴求する利用シーンは絞り込まず、また企業との金銭的なやり取りが発生しないWin-Winな形でそれぞれ実現しています。
相手が大企業でも口説ける
-コマーケィングを成功させる秘訣は?
まず、ターゲットはUberを利用したことがない人たちです。彼らにUberのサービスとはなんぞや、ということを伝えなければなりません。企画を考える上では、ただプロモーションコードを配布するだけではUberの価値を理解してもらえないということが分かってきました。「Uberが可能にする魅力的な体験」を企画することが、認知度と利用者数を高める上でとても大切です。
もう1つは、パートナー企業とのコミュニケーションです。具体的な企画を提案、検討する前に、相手がリーチしたいターゲットやコラボレーションのねらいを聞き、きちんと理解することが、企画においても、オペレーションにおいても重要です。
-ベンチャーにとっての、コマーケティングのメリットは?
新しい企業ほど、Facebookページのフォロワー数やユーザーベースの規模は小さいはずですから、自社だけでリーチできるユーザーも限られていると思います。資金面での制約もあるでしょう。コマーケティングは、自社だけではリーチできなかった潜在ユーザーと1対nでコミュニケーションが取れる有効な手段です。多くの顧客を抱える企業と組めば、それだけポテンシャルが大きくなります
ベンチャーが自社よりも規模の大きな企業を口説く難しさはたしかにあると思います。Uberの場合、時にはアイスクリームを、時には子猫を、時にはヘリコプターを呼べるような、かっとんだ企画を繰り返しやってきました。そのうちに、“Uberとだったら、なにかおもしろいことができるかもしれない”と期待をかけられるようになるものです。
また一方で、“Done is better than perfect.”。初めから大きな企画を成し遂げようとするのではなく、まずはライトな形でもやってみることが大事。マーケティングに限らず、Uberでは難易度が高すぎることに時間をかけてやるよりは、できる範囲のことを着実にやることを重視しています。
-今後の展開について、お聞かせください。
おかげさまで、ハイヤーからタクシーまで幅広いラインアップを提供できるようになりました。東京のユーザーの皆さまにさらに利便性の高いサービスをお届けできるようにしていきたいです。日本でのサービスをスケールできると判断したタイミングで、新しいサービスの展開、エリア拡大も模索していきたいと思います。
今回、Uberの広報部のお申し出によりHRナビ読者限定のクーポンコードの配布が実現しました。初めて乗車される方を対象に割引されます。取材を単なる取材で終わらせない。その姿勢こそが、Uberが次々とコマーケティングを実現させている理由なのかもしれません。
Uberの「マジカル」な体験をぜひこの機会に。
【Uber Japan × HRナビ クーポンプレゼントキャンペーン】
■コード:hrnavi
■割引: 初回のご乗車に限り4,000円までご乗車いただけます。ハイヤーのみに適用されます。
■有効期限: 2015年1月31日
■応募条件
※UBERを利用して初めてご乗車される方
■利用方法
※無料コードのご利用には、UBERアプリのダウンロードが必要となります。「プロモーション」という箇所にコードをご入力いただきますと、自動的に初回のご乗車にてコードが適用されます。
■注意事項
※換金および権利の譲渡はできません。
※お一人様1回とさせていただきます。
※利用エリア(六本木・渋谷・恵比寿・青山・表参道・広尾・麻布・白金高輪・溜池・霞ヶ関・汐留・新 橋・銀座・丸の内・日 本橋などを中心とした東京エリア)が限られておりますので、ご確認ください。
※UBERに関するご質問はsupporttokyo@uber.comま でお問い合せください。
※本コードはハイヤー配車を行う時のみ、ご利用いただけます。TAXI、プレミアムTAXIではご利 用いただけませんので ご了承ください。
※4,000円未満のご利用の場合でもおつりは出ません。
※4,000円を超えた部分はお客様のご負担となります。
https://www.uber.com/cities/tokyo