天然資源に恵まれた東南アジアに位置するタイは、毎年、大勢の投資家、そして、旅行者を魅了している。物価が安いため、自力で事業を興すにはうってつけの場所であり、そして、現在、投資の文化が成熟の域に達しつつある。
このような魅力的な起業の要素に加え、タイには、外国人にとって住みやすい環境が整っている。仕事とプライベートのバランスが抜群であり、収益と価格の比率も申し分ない。
シェアオフィスでは、大勢の外国人が働いている。その大半は、ノマドワーカー、起業家、そして、どこでも生活が出来て、仕事をするタイプの人達である。米国、ヨーロッパの出身者が特に多いが、イスラエル、日本、そして、韓国からの移住者も少なくない。
この要素を全て考慮すると、現在、タイのスタートアップシーンが爆発的に成長しているのも頷ける。事実、複数のシリーズ B投資が水面下で進んでおり、その中には、広く報道されているHotelQuicklyも含まれる。これは、バンコクの起業家にとって初の試みであり、スタートアップのエコシステムが現状を表している。
2年前、起業に興味を持つ人は多かったが、東寺、実際にこの世界に足を踏み入れたのは、数えるほどしかいなかった。しかし、現在、バンコクには、優れたビジネスモデルを掲げ、成功するポンテシャルを秘めた、才能豊かな、大勢の賢いエンジニア達が起業に取り組んでいる。
大手の通信会社、AISは、ベンチャー部門を発足し、支援するスタートアップを探している。また、私が取材したタイのスタートアップの一部は、インドネシアやフィリピン等、その他の東南アジアの地域に進出している。
リスクを嫌う思考は、急速に変化し、拡大を望むタイのスタートアップは、増え続けている。
モバイル化
タイのモバイルデバイスの浸透率は非常に高いため、この国のスタートアップは、モバイル化に取り組む必要がある。Bangkok Postによると、「昨年のタイの携帯電話の契約者は、1人で数台のデバイスを契約する人がいるため、全国民を1/3上回る人数に達していたようだ。さらに、タイのモバイル市場は、今年、9%増加して、9550万台に達し、そのうちの2500万台は3Gの契約を結んでいる。
タイ国民の多くは、携帯電話でしか、インターネットにアクセスすることが出来ない。従って、必要は発明の母、と言う格言があるように、タイではモバイルコマースが大きな注目を集めている。
ソーシャルネットワークとの結びつきが強いため、とりわけ、モバイルアプリ、そして、コンテンツの共有において、近いうち、タイは主役に躍り出る可能性を秘めている。
エンジェルインベスター
残念ながら、タイのエコシステムには、エンジェルインベスターは数えるほどしかいない。事実、この地域に流れ込む資金の大半は、日本のベンチャーキャピタルのシンガポール支局から持ち込まれる。
そのため、東南アジアでスタートアップを立ち上げ、シリーズ A、または、シリーズ Bを求めているなら、東南アジアで投資する機会を探し、シンガポールに支部を持つ日本のベンチャーキャピタルと交渉を行う必要がある。
注目に値する5社のスタートアップ:
- Builk – 無料でSaaS上の建設に関するデータをクラウドソースし、資金の節約に貢献する。
Builk.comは、予算編成、原価計算、購買、請求、そして、現場の協力を通して、建設業者を結びつける事業者向けのソーシャルネットワークである。建設会社は、無料でSaaSを利用し、納入業者、デザイナー、顧客と楽に関係を構築することが出来る。 - 2C2P – ユニバーサル電子支払いサービス。
最高レベルの支払い経路の設定、不正管理、そして、ビジネスインテリジェンス機能を持つカード支払い処理サービス。ユーザーにクレジットカードに代わる支払いの選択肢(オフライン、店頭取引、オンラインのデビットカード等)を与え、既存の支払いのオプションと統合する。 - Computerlogy – ソーシャルメディアのモニタリングツール。
Computerlogyの「SocialEnable」は、強力なソーシャルメディア管理ツールであり、ユーザーは、Facebook、Fanpage、Twitter、Google+、Instagram、Pantip(タイで人気が高いサイト)等、各種のソーシャルメディアチャンネルを単一のアプリケーションで管理することが出来る。このアプリには、キャンペーン管理と計測機能が搭載されており、ソーシャル CRMを用いたソーシャルメディアマーケティングに勝る。 - Eko – 企業向けのモバイル生産性コミュニケーションプラットフォーム。
アジア太平洋地域をリードする企業の重役と緊密に連係するEkoは、モバイル主体のリアルタイムのコミュニケーションツールをデザインし、構築した。Ekoは、安全で、シンプルで、生産的で、尚且つ、強力なコミュニケーションツールを従業員に提供する。スマートフォン時代の企業用メッセージ送受信ツールと言えるだろう。 - TalentEx – ASEAN地域のソーシャルリクルートサービス。
JobTalentsは、無料投稿/有料雇用モデルを掲げたオンラインジョブプラットフォームであり、選抜試験機能と求職者間のソーシャル推薦機能を用意している。
タイでのスタートアップの創設は、的確な判断と言える。規制に関する環境は、すこぶる良く、「事業を行う上で適している国」のランキングで18位につけている。経費はとても安く済み、活躍の場を求めている優秀な人材は多い。
タイで見られるチームワーク、そして、スピリットは、賞賛に値する。この点に関しては、世界のどの国にも負けていない気がする。
この記事は、The Next Webに掲載された「What you need to know about Bangkok’s startup ecosystem」を翻訳した内容です。